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2024/04/27 07:48 |
トヨタマヒメの物語


東京にあるショップのオーナーさんからいただいたクリスタルです。具合が悪くどうしても助けが必要だった際に声をかけてくださり、帰り際に「この石が合っているから御守りに」と持たせてくださったクリスタル。お返ししようとしたのですが「神様からの贈り物だから」とプレゼントしてくださいました。内部の白い部分が龍の姿に見えます。
下二枚の空の写真は、石を持って河原に行った際に偶然撮ったものです。
(トヨタマヒメ様は龍神様の化身と言われています)

トヨタマヒメとホヲリノミコト、そしてタマヨリヒメ。
古代の神様であった3人の、秘められた恋物語です。

トヨタマヒメは仲間と一緒に、見えない世界から私たちを応援してくれています。



■Message from Toyotamahime
いよいよ時が満ちました
わたしたちの新しい時代がやってきます

かけがえのない者を失った人達
未だ彷徨い、現実に戻れずにいる人達
悲しみにくれて動きだせずにいる人達

私たちは彼らの為に動きます
どうか恐れずに立ち向かってください

私はいつでもあなた方の傍にいます
いつでもあなた方のために、出来る最善の策を持って、あなた方と共に歩みます

おそれずに、前を向いて、真直ぐに
この先にある新しい光に向かって行きましょう
共に、同じ光の民として


■出会い
私とホヲリは夢に見る様な不思議な出会い方をしました。私は彼を一目見たときから好きになってしまい、父に頼んでこの家の婿に迎え入れたいとせがんだのです。(トヨタマヒメ)


とても大きな社に私達は住んでいました。土地神であった父ウエサクはわたしのことをいつも可愛がってくれ、そのような訳でこの時も、二つ返事で私の事を許してくれました。

ホヲリは私たち親子の事を何かの噂で聞いたらしく、父に会いに来たひとりの青年でした。
探しているものがあるとホヲリは私と私の側近に声をかけました。
社の前にある壁の傍で、私達は出会いました。

誠実で勇敢そうな面差しをした青年、それがホヲリでした。
驚いて、私は彼の言葉をもっと聞きたいと願い、
もっと話しをしたいと願い、もっと傍で良く表情を見てみたいと思いました。
だから、門の中へ招いてもてなすことにしたのです。

彼はとまどいながらも、私の強引さに何も言えず、
苦笑いをしながら社の中にまで入って来てくれました。
父はまだ2階の部屋にいるだろうと考え昇って行きました。

父は彼を見た時にすぐに気がついたようでした。
彼の本来の血筋が単なる村の若者ではないということに。
部屋に通されたホヲリは、父を見ながら真直ぐな視線でこう言いました。

「兄が、兄もここに来たはずだ。その時に兄が何を願ったのかを教えて欲しい」

父は怪訝な表情になりながらホヲリを見下ろしていました。
私は二人の遣り取りを見守りながら、つい先日、この社に立ち寄ったひとりの青年の事を思い出していました。

私は国の後継ぎである二人の青年に出会ったのだと、
この時はまだ気づく事ができませんでした。


彼は兄と約束をしたのだと言いました。何の約束かはここでは言えない、ただ、兄がもしそれをお話ししていたのなら私も真実を伝えます。しかし兄が何も言っていなかったのなら私も言う事は出来ない。

彼はそう言って父の目を真直ぐに見詰めました。
私はそんな彼の姿を見て、胸が高鳴るのを抑えきれませんでした。
とても素敵だった。
私にとってこの人こそがかけがえのない人になる、そう、思ったのです。

私達龍族の者は特別な配偶者と言うものを持ちません。
精神的に同じ志を持つ惹かれあう者同士が、互いに極自然と結ばれる。
今のあなた方のしきたりの様な結婚の概念はなく、
その時、その時に必要なパートナーといつでも結ばれる事ができたのです。
嫉妬や独占欲と言った感情は抱きませんでした。
時が来て、縁が不必要となれば離れ、新しい縁を求め、また惹かれあい結びつく。
自然な形で自由に結ばれる事がこの自然界の法則であるからです。

私も何度かパートナーを見つけ結ばれそうになった事はありましたが、
これほどまで心を引かれる想いを抱いたことはありませんでした。
私はその日、初めて知ったのです。
手に入れられないかもしれない者を手に入れたいという自分本位な想いを。
彼が龍族の者ではないと判りながら門の中に招いた時から、私は自分に襲いかかる数々の苦しみを予感していたのかもしれないのに、それでも彼を招いてしまった。門の中に招いてしまえば、ふたたびこの杜から出て帰る事はない、私達のもてなしによってこの場所を離れる事はないという確信があったから。

父は彼にこう言いました。

「確かにその青年は訪れたが、彼にとって必要な事は何もなく、私達も彼にとって必要な事は何も持っていなかった。もしかするとまたここに彼がやってくるかもしれない。それまでゆっくり寛いで行きなさい。私の娘がめずらしく招いた客人だから、手厚くもてなしをさせていただきたい」

私は傍で二人を見ながら笑顔を隠しきれませんでした。
父を見て青年を、ホヲリを見て、二人の会話を遮るようにホヲリの腕を掴むと、祝宴が始まる前にこの場所を案内すると言って彼を引っ張り回してしまいました。彼は最初に会った時のように困った顔をして私の事を見ていました。私は彼のことを見詰めながら、彼に惹かれてゆく心の動きをとても気持ち好いと感じていました。

不思議な縁。(えにし)
彼は人間であり、私達は龍神。
争いがあり住む場所を分けた種族同士が愛し合い惹かれあう事があるなんて。

私は彼を島に帰す事を拒み、彼もまたそれを受け入れて、私達はお互いに少しずつ心を開いてゆきました。兄との約束だけは守らなければいけないが、帰る場所はないからと彼は笑って私の傍にいてくれると言ってくれたのです。

ホヲリは明朗快活で優しく穏やかな人柄で、わたし達の誰もが彼の事を好きになりました。裏表がなく誠実で、わたしたちを敵対する種族と知って尚、その態度を変える事はありませんでした。私にとって、ホヲリと過ごした時間は、今まで過ごしたどの時間よりも大切な物となって行きました。私はホヲリと過ごしている間ずっと、今まで感じた事のない幸せを感じる事ができたのです。

美しいと囁いてくれる声も、髪を撫でてくれる指先も、私に口付してくれる唇も、
私はホヲリの全てが好きでした。
1分、1秒も惜しくて、彼が傍にいて当たり前の生活が続いたある日、

私に新しい家族が出来ました。
島の外から連れて来られた巫女。
父が島の外で愛した人間の女の子供です。
母が死に身寄りがなくなった彼女は、わたし達の社で共に過ごすこととなりました。

彼女の名は、タマヨリヒメ。
人間でありながら神術にたけ、
わたし達の意識と繋がる事ができる龍の血筋を持った人間でした。

まだ幼いながら美しいタマヨリヒメに、ホヲリの視線が向けられたままであった事を私は不安に思いました。タマヨリヒメは美しく、寡黙で、自分に課せられた運命を受け容れながら、忠実に私達の下で巫女としての働きを淡々とこなし続けていました。

私達3人は次第に結びつきが深く、互いにかけがえのない存在として繋がり始めて行きました。


私がホヲリの子を身ごもり始めた時、数日、外へ出る事のできない時がありました。
新たな命の誕生をよろこんで私は自分の幸せを噛みしめました。
ホヲリと私の子。
新しい国を、この子と共に作ろう。
新しい命は、新しい世界を作る為の私達の大切な命。
どんな子が生まれてくるのか、それは私に似ているのか、それともホヲリに似ているのか、
そんな小さな幸せに想い浸りながら、私は部屋で数日を、みそぎの為に過ごしました。

隔離された時間が過ぎて久しぶりに二人に会おうと外へ出た時に、
私は二人がこの社から消えている事を知りました。

私には何が起きたのか全くわからなかった。
私は、何日か彼らが戻ってくることを待ち続けましたが、
いつになっても二人は戻らず、とうとう1年が過ぎ、2年が過ぎ、そうして丸3年、
私は彼らが戻って来ない事をようやく理解しはじめました。

子は生まれませんでした。
流れてしまった命。
それは私が強く拒んだために、天界からの訪れを塞がれてしまった命でした。

深い悲しみの中で、私は全てを失ったように放心し、誰の事も信じられず、
社の中で次第に孤独になり、誰をも受け入れず、ひとりきりで過ごす事が増えてゆきました。

私にとってホヲリは全てだったのです。
愛しているといった言葉は嘘だったのか。
幸せにすると言った言葉は嘘だったのか。
私を大切に、種族の壁などなく愛してくれていたのは幻だったのか。
来る日も来る日も、同じ考えの中をぐるぐると思考は廻ります。

無意味な時間が過ぎて行きました。
何をする気も起きず、誰と離す事も拒み、私はひとりでホヲリを待ち続けました。


私の中で一つの疑問が浮かび上がったのは、それから何年もしてからでした。
父の目を盗み、島へと渡った私が見たものは、タマヨリヒメと共に幸せに暮らすホヲリの姿でした。
私は目を疑いました。
二人は、死んだと思っていたのです。
私を裏切って生きている筈がないとそう思ったのです。

でも生きていた。
そして二人の間には子供が生まれていました。

ヤマトの子。

私は直感でそう感じました。
彼はヤマトの国の王子であるために、龍神である私ではなく、
ヤマトの国の巫女であるタマヨリヒメを選んだのです。

体裁。自分の地位。国を繁栄させるため。

それでも私には信じられませんでした。
そしてタマヨリヒメに強い憎しみと嫉妬を抱きました。

なぜ彼の隣にいるのが私ではないのか。
なぜ彼の子を抱いているのが彼女なのか。
私達は、分かたれた種族を統合し、新しい国を作るために共に手を繋いで歩むのではなかったのか。

正気ではいられないほどの悲しみに、私は身を引き裂かれる想いでした。
二人を殺す事も、憎しむ事も、二人の仲を引き裂く事も私にはできませんでした。
そのような事をしても無意味であることを知っていたからです。

それでも、苦しかった。
私は人間がなぜ憎しみ合い、殺し合い、全てを我がものとしたがるのか、
その感情を心の底から理解をしました。

同じ運命を繰り返してはならない。
大和の国と龍族は、互いに干渉しないことで平和を保ってきたのですから。

真実を目の当たりにして受け入れられるほど私は強くはありませんでした。
社に戻った時、全てを封印しようと眠りにつきました。
私は、海の底で深い眠りにつきました。

その時代にはもう2度と、目覚めることは、ありませんでした。


『その手を離さなければ、ずっと一緒にいられたのに』(トヨタマヒメ)


(物語は次回に続きます)


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2011/05/22 08:39 | Comments(0) | TrackBack() | ナ・ムー

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