石だけではなく、土地にも物語があり、特に所以の深い場所に行くと風の音の中に物語がイメージとして浮かんでくることがあります。これは宮島のひっそりとした公園の写真です。観光エリアを少し離れた場所で、まったく人がいない静かな場所でした。私にはこの場所が、どうしても海の中にあったような気がして仕方ないのです。写真を見ていてもこれが陸であると思えない。そんな場所から聴こえたプチストーリふたつです。
幾千の時を越えた願い。(トヨタマヒメ)
[1]龍族の物語
美しき島
龍族の地
この海に浮かぶ島は
もともと龍の血族たちが住処として選んだ土地で
海を隔てた向こう岸に住む人々とは
血筋も文化も全く違うものだった。
神・・・
古代の”智”を持つ者たちの事。
何でも知っている。
経験もある。
世の中の憂いの中で生きている者たちが
俗世とは隔絶された地で生きたいと願った土地が
この美しい島だった。
サンゴが美しく島を囲み
四季を巡る草花は
私たちの憂いや不安を拭ってくれる
頼もしい仲間だった。
[2]ヤマトタケルの物語
ヤマトタケルと呼ばれた人物がいた。
ただ、ヤマトタケルというのは日本の〝史実”を作った、いわばアニメの主人公のようなもので真実ではない。
国を作り、民を統治した人物である。
時とともに時代は移り変わり、
ヤマトタケルは朝廷の権力に利用されるようになった。
彼はそれを見越して、史実に名前を残したまま消えた。
朝廷は求めた。
彼の活躍を。
朝廷の威厳を保つため、また、侵略の権力とするために。
彼は国を去り、小さな島へと身を移した。
自分が降り立った安芸の島へ。
同じ憂いを持つ者たちの集う島、厳島へ。
すごく短いですね。厳島の旅をしている間、本当は歴史絵巻みたいにイメージが流れていました。いつか物語にできたらいいなと思っています。そういえば平家が出て来なかった。
離れがたい想いがある場所には、時が来ると引き寄せられるものですか?
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